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 22日から24日まで気仙沼市に行きました。
今までの地震災害の概念を打ち壊す巨大津波災害でした。そのため次のような留意点
が必要

 


宇田川です。
22日から24日まで気仙沼市に行きました。
今までの地震災害の概念を打ち壊す巨大津波災害でした。そのため次のような留意点
が必要と感じます。
1 今回の災害の特徴は地震ではなく津波災害であることです。仙台、一関では軽微
な建物被害が見られる物の、気仙沼市では全く無い。私が見た範囲では唯一崖から落
ちた大岩が揺れを示すもので、他の人からも地震でつぶれた話は聞きません。完全に
津波が被害を巨大にしたのです。
2 津波災害の特徴はすべてを失う事です。地震の場合は崩れた家から家財を取り出
す事も可能であるが、津波は一切合切を押し流してしまう。幸いにも津波からは逃げ
られても今後の生活再建を全くのゼロから始めなくてはならない人が大勢います。中
には借金だけが数千万円残った人もいる。昨年のチリ津波で養殖いかだが被害にあっ
た人、船を造ったばかりの人、いろいろな人がいます。またこの地域はタンス貯金を
する人が多いと聞きました。貯金も無い人がいる訳です。本当にはだしで逃げてきて
靴も無い人もいます。
3 阪神淡路大震災の事例を参考にしても通用しない部分が多すぎます。被災地の範
囲、2500ヶ所を超える避難所の数(阪神淡路大震災では599ヶ所)、気仙沼市
だけで101ヶ所です。根こそぎ地域から住民、住宅、企業、行政すべてがあらいな
がされたこと、など複雑な問題が山積しています。
4 その結果自治体は復興に多額の支出が必要なのに税収は大幅に減る危機的状態に
なります。

気仙沼市では社協職員とSVAの白鳥君が災害ボランティアセンターの設立に向けて連
日奮闘していました。4月には開設できると思いますが、当面避難所支援に傾注する
方針です。市内にはボランティアが宿泊できるスペースは無く、市外か他地域から日
帰りで活動するしか無い状況ですから、当分県内ボランティアの募集方針のようです。
県外から行く場合は一関市にホテルを確保し、出張するしか無いと思いますが、一関
市もまだガスは回復していないようです。また現地はまだまだ寒く、今日も雪の予報
となっています。

現地では事前に要望のあった下着、すぐ食べられるもの、マスク、などを積めるだけ
積んでいきましたが、現地物資集積所には既に下着類は十分あり、物資の適正な供給
の難しさを感じました.テレビでは相変わらず「今欲しい物は何ですか?」と想像力
の無い質問をしていますが、それが放映され品物が現地に届く頃には既に充足され、
次の新しい需要が生まれている場合が多いのです。既に水はそのような状況になりつ
つあります。持参した物で喜ばれたのはポケットティッシュ、歯ブラシ、携帯電話充
電器、ブルーシート(仮設風呂用)、野菜、漬け物でした。逆に気づかなかった物で
はカミソリでした。

23日は持参した物とボランティアセンターに集まった米や野菜を避難所へ届けてき
ました。津波のため道路が陥没し、孤立した集落でした。水門があったところに自衛
隊がはしごで急造の足場を設け(写真)、破壊され尽くした港の中を15分ほど歩い
た岡野上の避難所でした。71戸あった集落で残ったのは10軒だそうです。近くの
水産加工工場の従業員など一時は50名ほどが自宅のワカメ加工場に入っていたそう
です。このお宅では発災時の様子を集まった方々から聞く事ができました。浮き球に
つかまって体中傷だらけになりながら助かった人、法事のため地区の方々が集まって
おり助かったところ、屋根に乗って流された話など、救出の話の中に「津波てんでん
こ」(津波の際は他人に構わずてんでんばらばらで良いから何しろ早く逃げろ)にま
つわる悲痛な話がありました。寝たきりのお年寄りのいるお宅で津波来襲に「ばあちゃ
んごめん」というしか無く逃げてきた方がいるそうです。津波からの避難では全く正
しく、一緒に逃げようとすればその方も間違いなく命を落としたでしょうが、残った
生を生きる中でずうっとばあちゃんの事を思い続ける事になるだろうと思い、津波災
害の残酷さを痛感させられました。

午後はお寺や地区の集会所の避難所を回りました。まだ水も電気も来ていないところ
もあり、ボランティアは皆無で避難者の方々が自分たちですべてを取り仕切っていま
した。大きなろうそくが欲しい、との声に電気が来たからもう不要、との連絡におろ
してしまった事を後悔しましたが、このように物資の需給の確認は難しいものがあり
ます。

今後市との交渉で場所さえ決まれば災害ボランティアセンターは発足できるでしょう
が、人手不足は続きます。23日までは京都市社協が一人いて、交代で伊丹市、兵庫
県、滋賀県からのブロック派遣が来ました。しかし白鳥君の負担は相当の物で彼を支
えるサブが必要だし、現有の社協職員の数だけでは運営しきれないのは確実です。長
期に各被災地のボラセンを支えられる人手が必要です。

国際救急法研究所 宇田川 規夫
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